本記事では、最新の**令和7年版『公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)』および『建築改修工事監理指針』**に基づき、耐震改修工事の品質・構造安全性を担保するための最重要チェック数値を実務のポイントとともに徹底解説します。
- 改修監理指針 第8章 耐震改修工事
- 1節 共通事項
- 2節 材料
- 3節 鉄筋の加工及び組立
- 4節 鉄筋の機械式継手及び溶接継手
- 5節 レディーミクストコンクリート工場の選定、コンクリートの製造及び運搬
- 6節 コンクリートの品質管理
- 7節 コンクリートの工事現場内運搬、打込み及び締固め
- 8節 コンクリートの試験等
- 9節 軽量コンクリート
- 10節 暑中コンクリート
- 11節 無筋コンクリート
- 12節 あと施工アンカー工事
- 13節 鉄骨工作
- 14節 高力ボルト接合
- 15節 溶接接合
- 16節 スタッド溶接
- 17節 鉄骨の錆止め塗装
- 18節 耐火被覆
- 19節 鉄骨の工事現場施工
- 20節 溶融亜鉛めっき工法
- 21節 現場打ち鉄筋コンクリート壁の増設工事
- 22節 鉄骨ブレースの設置工事
- 23節 柱補強工事
- 24節 連続繊維補強工事
- 25節 耐震スリット新設工事
- 26節 免震改修工事
- 27節 制振改修工事
- 28節 土工事及び地業工事
- 29節 「改修標仕」以外の構造体の耐震改修工事
- 30節 「改修標仕」以外の非構造部材の耐震改修工事
- 31節 津波対策改修工事
- 第8章 耐震改修工事の総括(まとめ)
- 改修監理指針 第8章 耐震改修工事
- 1節 共通事項
- 2節 材料
- 3節 鉄筋の加工及び組立
- 4節 鉄筋の機械式継手及び溶接継手
- 5節 レディーミクストコンクリート工場の選定、コンクリートの製造及び運搬
- 6節 コンクリートの品質管理
- 7節 コンクリートの工事現場内運搬、打込み及び締固め
- 8節 コンクリートの試験等
- 9節 軽量コンクリート
- 10節 暑中コンクリート
- 11節 無筋コンクリート
- 12節 あと施工アンカー工事
- 13節 鉄骨工作
- 14節 高力ボルト接合
- 15節 溶接接合
- 16節 スタッド溶接
- 17節 鉄骨の錆止め塗装
- 18節 耐火被覆
- 19節 鉄骨の工事現場施工
- 20節 溶融亜鉛めっき工法
- 21節 現場打ち鉄筋コンクリート壁の増設工事
- 22節 鉄骨ブレースの設置工事
- 23節 柱補強工事
- 24節 連続繊維補強工事
- 25節 耐震スリット新設工事
- 26節 免震改修工事
- 27節 制振改修工事
- 28節 土工事及び地業工事
- 29節 「改修標仕」以外の構造体の耐震改修工事
- 30節 「改修標仕」以外の非構造部材の耐震改修工事
- 31節 津波対策改修工事
- 第8章 耐震改修工事の総括(まとめ)
改修監理指針 第8章 耐震改修工事
公共建築の耐震改修工事は、大地震時に人命を守るだけでなく、災害応急対策活動の拠点としての機能を維持するために、一分の妥協も許されない極めて重要なプロジェクトです。既存の不確定な構造躯体に対し、新設部材を高い精度で一体化させるためには、管理基準となる「確定数値」をミリ単位、パーセント単位で厳格にコントロールしなければなりません。
1節 共通事項
構造体(コンクリート・鉄骨等)の仕上りの平たんさの許容差
- a種(平滑な仕上げ下地):1mにつき 3mm以下
- b種(通常の仕上げ下地):1mにつき 10mm以下
- c種(仕上げ厚さが7mm以上の場合又は下地の影響を受けにくい仕上げの場合):1mにつき 10mm以下
(改修標準仕様書 8.1.4)
耐震改修において、既存躯体に新設の耐震壁や鉄骨ブレースを増設する際、接合面となるコンクリートの平たんさは、構造的一体性を確保するための極めてシビアな管理パラメーターです。それゆえに、型枠を脱型した後の仕上り寸法を検尺する際は、1mのアルミ定規を当てて隙間の数値を測定し、指定された種別の許容差(a種は3mm以下、b・c種は10mm以下)に適合しているかを厳密に確認しなければなりません。なぜなら、この不陸(凸凹)が許容値を超えていると、既存躯体と新設部材との隙間に注入するグラウト材の厚みが不均一になり、地震時に応力集中を引き起こして接合部から破断する致命的な原因となるためです。したがって、現場代理人は打設前の型枠精度の段階で通りをレーザーで確認し、不陸がある場合はモルタルでの事前補修やグラインダーによる平滑研磨を徹底してください。
普通コンクリートの分類基準となる気乾単位容積質量
- 普通コンクリートの気乾単位容積質量:おおむね 2.1t/㎥以上 2.5t/㎥以下
(改修監理指針 8.1.3)
改修工事におけるコンクリートの選定は、建物の自重(積載荷重)に直結するため、設計図書との整合を完全に図る必要があります。仕様書において、普通コンクリートは気乾単位容積質量が「2.1t/㎥以上 2.5t/㎥以下」のものと物理的な数値で定義されています。その結果、これを超える重量のコンクリートや、逆に軽量骨材を使用した基準値未満のコンクリートを誤って使用すると、構造計算上の前提条件が崩れ、耐震性能を保証できなくなります。それゆえに、現場代理人は、生コンプラントから提出される配合計画書の配合計算データにおいて、気乾単位容積質量がこの範囲内に確実に収まっているかを事前に書類審査し、発注者の承諾を得ておくことがプロの施工管理の出発点です。
2節 材料
荷卸し地点におけるフレッシュコンクリートの標準空気量
- 空気量:4.5%
(改修監理指針 8.2.5(5)(イ)(a))
凍結融解作用に対する耐久性を高め、施工時の流動性を確保するために、荷卸し地点での空気量は「4.5%」を標準値として管理しなければなりません。なぜなら、空気量が3.0%未満と過度に少なくなると、冬期の凍結による微細な組織破壊(ポップアウト)を誘発し、逆に6.0%以上に増大するとコンクリートの圧縮強度が物理的に著しく低下するためです。したがって、現場での受け入れ検査時(段階確認)には、空気量測定器のメーター数値を厳格に読み取り、許容差内に収まっていることを試験写真とともに数値で実証してください。
調合設計における単位水量の最大制限値
- 単位水量:185kg/㎡以下
(改修監理指針 8.2.5(5)(イ)(c))
コンクリートの乾燥収縮によるひび割れを物理的に抑制するため、1㎥あたりに配合される水の量(単位水量)は「185kg/㎡以下」に抑える必要があります。実務においては、ワーカビリティー(施工性)を向上させるために作業員が現場で生コンに加水(加水行為)を行うことは厳禁です。なぜなら、単位水量が増加すると、硬化収縮ひび割れが多発するだけでなく、構造体の中性化が急速に進行して内部鉄筋を早期に腐食させるためです。それゆえに、コンクリートポンプ車による圧送性が懸念される場合は、加水ではなく高性能AE減水剤の配合比率を調整して流動性を数値管理することが、耐久性を担保するための鉄則です。
調合設計における単位セメント量の最小制限値
- 単位セメント量:270kg/㎥以上
(改修監理指針 8.2.5(5)(イ)(d))
構造体コンクリートの密実性と長期的な強度発現を保証するため、単位セメント量は最低でも「270kg/㎥以上」を確保するよう規定されています。セメント量がこの最小制限値を下回ると、セメントペーストの量が不足して骨材同士の噛み合わせが悪くなり、打設時にハニカム(豆板)を多発させるだけでなく、アルカリ性の低下を早めて中性化抵抗性を著しく低下させます。したがって、監督職員は、配合計画書に記載された単位セメント量の具体的な数値を厳格にチェックし、270kg/㎥以上の基準を確実にクリアしていることを確認した上で、製造工場への正式発注を承諾しなければなりません。
3節 鉄筋の加工及び組立
フープ筋(帯筋)のコーナー部における折曲げ内法直径
- 内法直径:フープ筋の径又は呼び名に用いた数値の 3倍以上
(改修監理指針 8.3.5)
耐震補強において、柱の靭性を高めるためのフープ筋の加工精度は、地震時の大荷重(せん断力)に耐えるための生命線です。フープ筋の角部を折り曲げる際、その曲げ内法直径は、鉄筋の呼び名の「3倍以上」を確保しなければなりません。なぜなら、この曲げ半径が小さすぎると、折り曲げ部に過度な加工歪み(応力集中)が残り、地震時の急激な引っ張り応力によってフープ筋自体が角部から破断(脆性破壊)するためです。それゆえに、鉄筋加工工場からの搬入時には、専用の曲げ定規やノギスを用いて加工精度をサンプリング実測し、ミリ単位で基準値を満たしているかを検収することが、現場代理人に課せられたシビアな品質管理です。
4節 鉄筋の機械式継手及び溶接継手
機械式継手及び溶接継手の施工完了後における外観試験の実施頻度
- 試験頻度:すべての施工箇所に対し 全数(100%)
(改修監理指針 8.4.1)
耐震改修工事では、既存の鉄筋と新設する補強鉄筋を接合するために機械式継手や溶接継手が多用されます。これらすべての継手部は、作用する地震力を確実に伝達しなければならないため、施工完了後に必ず「全数の外観目視検査」を実施することが義務づけられています。したがって、現場代理人は、カプラーのねじ込み不足や偏芯、あるいは溶接の余盛り不足やアンダーカットといった不具合がないかを、一箇所ずつ鏡や専用ゲージを用いて厳密に確認し、合否を自主検査表に記録しなければなりません。その結果、不合格と判定された箇所については、仕様書に基づき、再ねじ込みや補修溶接を施した上で再度検査を行い、すべての継手が完璧な数値精度で施工されていることを監督職員に立証してください。
5節 レディーミクストコンクリート工場の選定、コンクリートの製造及び運搬
JIS認定取得生コンプラントからの材料受入・選定管理
- 選定基準:JIS A 5308認定工場かつ、品質管理監査で 適合(通マーク交付等) を受けていること (改修監理指針 8.5.1 / 8.5.2関連)
耐震改修用の生コンクリートを発注する際は、単にJIS認定を受けているだけでなく、全国統一品質管理監査において適合評価(通マークの交付)を受けている信頼性の高いプラントを選定しなければなりません。なぜなら、耐震改修では新設する壁や柱の厚みが薄く、過密配筋となる傾向が強いため、コンクリートの品質のブレが充填不足(ジャンカ)を直ちに引き起こすためです。それゆえに、現場代理人は、選任する生コン工場の直近の監査結果報告書(数値データ)を取り寄せ、管理体制が適切であることを立証した上で、施工計画書に添付して監督職員の承諾を受けておくことが、現場での材料トラブルを未然に防ぐプロの防波堤となります。
6節 コンクリートの品質管理
現場受入検査時におけるコンクリート空気量の許容差
- 空気量の許容差:標準値(4.5%)に対し ±1.5%
(改修監理指針 8.6.3)
生コンクリートが現場に搬入された際、ファーストステップとして実施する受け入れ検査において、空気量の測定数値は標準値4.5%に対して「±1.5%(すなわち3.0%以上6.0%以下)」の範囲内でなければなりません。したがって、この許容差を外れた生コンクリートが搬入された場合は、いかに工期が逼迫していても、構造体の耐力低下や凍害防止のために、該当するミキサー車を即座に追い返さなければなりません(受入不合格)。現場代理人は、打設当日の気温変化や運搬時間に伴う空気量の減少推移を先読みし、プラント側と密に連携して空気量の数値を安定させる調整(化学混和剤の微調整)を指示してください。
生コンクリート中に含まれる全塩化物イオン量の上限値
- 塩化物イオン量の上限:0.30kg/㎥以下
(改修監理指針 8.6.4(1)(ア))
コンクリート内部の鉄筋の早期腐食を防ぎ、耐震改修した構造体を数十年単位で長寿命化させるため、生コンクリート中の全塩化物(塩素イオン)量は「0.30kg/㎥以下」に抑える必要があります。なぜなら、この塩化物量が制限値を超えると、コンクリートの強アルカリ性によって保たれている鉄筋の不動態被膜が物理的に破壊され、鉄筋が急速に赤錆を起こしてコンクリートを爆裂させるためです。それゆえに、現場代理人は打設前に必ず、カンタブ(塩分測定用試験紙)やデジタル塩分計を用いて塩化物量を実測し、0.30kg/㎥以下の合格数値を記録した試験結果を段階確認書として整備してください。
レディーミクストコンクリート用細骨材(砂)中の塩化物量制限
- 細骨材中の塩化物量(NaCl換算・絶対乾燥重量比):0.04%以下
(改修監理指針 8.6.4(1)(イ))
コンクリートを構成する砂(細骨材)自体に含まれる塩化物量(海砂の貝殻や付着塩分など)は、無水塩化ナトリウム(NaCl)換算で、細骨材の絶対乾燥重量に対して「0.04%以下」でなければなりません。これは、前述した「全塩化物イオン量0.30kg/㎥以下」をプラントでの配合段階から本質的にクリアするための原材料レベルでのデッドラインです。したがって、監督職員は、プラント選定時および定期的な材料検査において、細骨材の試験成績書に記載されているこの塩化物量の数値を厳格に審査し、0.04%以下の基準が守られていることを確認してください。
7節 コンクリートの工事現場内運搬、打込み及び締固め
縦型補強部材(柱・壁)における1回の最大打込み厚さ(レイヤー厚さ)
- 打込み厚さ:50cm以上 80cm以下
(改修監理指針 8.7.4 / 標準仕様書 6.6.5関連)
耐震改修で最も多く施工される「既存壁へのコンクリート増打ち」や「柱の巻き立て補強」においては、1回に打ち込むコンクリートのレイヤー厚さを「50cm〜80cm」の範囲に制御しなければなりません。なぜなら、これを超える大量のコンクリートを一度に一気流ししてしまうと、内部の過密な鉄筋の下部に十分な流動が行き渡らず、骨材が引っかかって空洞(豆板)を発生させるほか、型枠にかかる側圧(コンクリート側圧)が物理的限界を超えて型枠が崩壊する大事故に直結するためです。それゆえに、打設時は型枠の外側から検尺ロッドやマーキング(50cm〜80cm刻みの印)を目安にしてコンクリートの積算高さを数値管理し、段階的な打ち込みと棒形振動機による緻密な締固め(加振時間5〜15秒)を徹底してください。
8節 コンクリートの試験等
既存躯体を部分補修する場合における部材断面積の補修制限割合
- 一般補修部:部材断面積の 5%以下
- 母材と同等以上の強度を有し、架構の一部のみである場合の最大制限:部材断面積の 30%以下 (改修監理指針 8.8.4)
耐震改修工事では、既存のコンクリートが劣化(中性化や爆裂など)している部分を部分的にはつり取り、ポリマーセメントモルタルやエポキシ樹脂モルタルで断面を復元する補修作業が不可欠です。この部分補修を行う場合、補修する断面積は、該当する構造部材(梁や柱)の全断面積の「5%以下」に制限されます。ただし、使用する補修材が母材(既存コンクリート)と同等以上の物理的強度を有し、かつ架構全体の一部に限定される場合に限り、最大で「30%以下」まで施工を拡張することが認められています。なぜなら、これら制限数値を超える広範囲な異種材料による断面修復は、挙動の違い(ヤング係数のズレ)によって一体性を失い、地震時に応力を正しく伝達できなくなる危険性があるためです。したがって、施工調査時の Uカットやはつり取り面積がこの制限値内に収まっているかを、必ず実測数値で検証してから施工に入らせてください。
防火上支障のない補修部分のポリマーセメント比及び厚さ制限
- ポリマーセメント比(樹脂添加重量比):4%以下
- 補修部分の施工厚さ:20mm以下
(改修監理指針 8.8.4)
断面修復にポリマーセメントモルタルを使用する場合、火災時の高熱による補修材の急激な熱分解やガス発生(剥離・有害ガスの放出)を防ぐため、ポリマー(エマルション樹脂等)のセメントに対する添加比率は「4%以下」、かつ補修部分の施工厚さは「20mm以下」に抑えなければなりません。 実務において、厚みが20mmを超える深い欠損部に対して、接着性を上げたいからといって高濃度の樹脂モルタルを一気に厚塗りすることは、不燃性能(防火上の安全性)を損なうため、絶対に避けてください。それゆえに、現場代理人は、20mmを超える深いはつり跡に対しては、JISに適合する無収縮モルタルやエポキシ樹脂注入での代替など、仕様に準じた適切な工法への変更を監督職員と段階協議することが、防火安全性を数値で担保するための急所です。
9節 軽量コンクリート
- 地下外壁や擁壁など常時土又は水に接する部分に使用する場合の最小単位セメント量
最小単位セメント量:340kg/㎥以上
(改修標準仕様書 8.9.3(7) / 改修監理指針 8.9.1) - 調合検査におけるフレッシュコンクリートの単位容積質量の許容差(実測値と基準値の差)
許容差:±3.5%の範囲内
(改修標準仕様書 8.9.5(イ) / 改修監理指針 8.9.5(イ))
耐震改修工事において、建物の自重(積載荷重)を低減させるために有効な軽量コンクリートは、骨材が多孔質であるため、普通コンクリートに比べて吸水率のコントロールが非常にシビアです。それゆえに、常時土や水に接する耐久性が求められる部位に使用する際は、コンクリート組織を緻密に保ち中性化や水の浸入を物理的に防ぐために、最小単位セメント量を 340kg/㎥以上 に引き上げて配合しなければなりません。 また、現場でのフレッシュコンクリート受け入れ時の単位容積質量は、骨材の吸水状態によってブレやすいため、実測値と基準値の差を ±3.5%の範囲内 に収めることが合格の絶対条件となります。現場代理人は、生コンプラントでの事前吸水(プリウェット)状況を事前に数値確認し、打設当日のスランプ低下や強度不足を未然に防ぐ徹底した工場管理を行ってください。
10節 暑中コンクリート
- 暑中コンクリートを適用(特別な温度管理)すべき気象条件
適用基準(日平均気温の日別平滑値):25℃を超える時期
(標準仕様書 6.12.1(1) / 改修監理指針 8.10.1(1)) - 暑中コンクリートの打込み時におけるコンクリート温度の上限値
打込み時温度の上限:35℃以下
(標準仕様書 6.12.3(1))
夏期の猛暑期に行う耐震補強工事において、日平均気温の平滑値が 25℃を超える時期 は、強制的に「暑中コンクリート」としての厳しい温度管理体制を構築しなければなりません。なぜなら、高気温下では水分の急激な蒸発やセメントの早期水和反応が進行し、コールドジョイントや急激な収縮ひび割れが多発するためです。 それゆえに、打込み時のコンクリート温度は、いかなる場合も 35℃以下 の上限値を厳守する必要があります。現場代理人は、生コンプラントに対して骨材への散水や貯水槽への冷水導入を指示するだけでなく、現場到着から打込み完了までの運搬・打設時間を「90分以内」等の厳格なタイムスケジュールで数値管理し、打設直前での急激な温度上昇を徹底的に抑え込んでください。
11節 無筋コンクリート
- 特記仕様書に明記がない場合の無筋コンクリートの標準設計基準強度
設計基準強度:18N/㎟
(改修標準仕様書 8.11.1(3) / 改修監理指針 8.11.1(2)) - 特記仕様書に明記がない場合の無筋コンクリートのスランプ値
標準スランプ:15cm 又は 18cm
(改修標準仕様書 8.11.1(3) / 改修監理指針 8.11.1(2)) - 捨コンクリート及び防水層の保護コンクリートにおける粗骨材の最大寸法の上限
最大寸法:25mm以下
(改修標準仕様書 8.11.2 / 改修監理指針 8.11.2(1))
無筋コンクリートは、構造的な引張力を負担しない「捨コンクリート」や「均しコンクリート」、あるいは屋上防水層を保護する「押えコンクリート」などに限定して適用されます。特記がない場合の標準仕様は、設計基準強度が 18N/㎟ 、スランプは施工性を考慮して 15cm 又は 18cm と定められています。 実務において、無筋コンクリートは構造体ではないからとルーズに扱われがちですが、捨コンクリートが乾燥してひび割れると、その上に構築する新設鉄筋の通り精度が著しく低下します。したがって、打設前には砕石地業への徹底した事前散水を行い、地盤に生コンの水分が奪われる「ドライアウト」を防止してください。また、防水層を物理的に傷つけないよう、粗骨材の最大寸法を必ず 25mm以下 に厳密に制限し、防水層の保護と平滑な仕上げ精度を完全に両立させることが、プロの確固たる施工管理です。
12節 あと施工アンカー工事
- 特記なき場合におけるあと施工アンカー(引張試験)の最小試験本数
試験本数:補強壁1枚あたり 3本(梁下・柱・床各1本)以上、かつ全体で 3本 以上
(改修標準仕様書 8.12.7) - 同一構造物における非破壊引張試験の最小サンプリング率
サンプリング本数割合:全施工本数の 0.5%以上 かつ最低 3本 以上
(改修監理指針 8.12.7関連) - 接着系あと施工アンカー打設後の初期養生(振動・衝撃禁止)時間
養生時間:打設後 24時間以内
(改修監理指針 8.12.6関連)
新設する耐震壁や鉄骨ブレースの耐力を既存躯体に確実に伝達するため、あと施工アンカーの品質保証は極めて厳格に実施しなければなりません。 それゆえに、施工後に実施する非破壊での引張試験(確認強度試験)においては、特記仕様書に定めがない場合、原則として補強壁1枚あたり 3本(梁下、柱、床から各1本をサンプリング)かつ全体で 3本 以上を必ず試験対象とし、専用の油圧式簡易引張試験機を用いて設計用引張強度に等しい荷重(数値)まで加圧してください。 また、接着系アンカーは、カプセル内または注入された樹脂が完全硬化して所定の付着力を物理的に発現するまで、打設後 24時間以内 は一切の振動や衝撃を加えてはなりません。この養生数値を無視して、翌日にすぐ鉄筋の配筋作業や型枠の組み立てを強行して叩き振動を与えると、目に見えないミクロな剥離が樹脂とコンクリートの界面に生じ、将来的な引抜耐力が著しく低下する致命的な原因となります。 現場代理人は、アンカー打設完了時の「タイムスタンプ付き黒板写真」を段階確認記録として整備し、24時間が経過したことを数値管理したうえで、後続の職人に乗り込ませる工程調整を徹底してください。
13節 鉄骨工作
- 構造用鋼材のミルシート(検査証明書)原本管理の提出対象外特例(余材使用時等)
原本確認の対象:すべての新調鋼材(余材使用時は中間加工業者の規格品証明書原本で代替可)
(改修監理指針 8.13.2 / 13節資料関連)
既存の学校や庁舎に鉄骨ブレースを組み込む耐震改修では、現地の実測寸法にミリ単位で合わせて鉄骨を工場製作(工作)するため、その鋼材自体の品質証明(ミルシート等)の数値管理が第一歩となります。 JISマーク表示製品であっても、ミルシートに記載された化学成分(炭素当量等)や降伏点の数値が、設計図書で要求されている「SN400」や「SN490」などの鋼材種別を確実に満たしているかを、工場製作に着手する前に受入検査で確認しなければなりません。 その結果、もし鉄骨製作業者の手持ち余材(余り材)を部分的に使用する場合などは、メーカー原本のコピーではなく、原本を保有する中間加工業者が発行した「規格品証明書(用紙C等)」の数値を突き合わせて整合性を立証してください。これにより、不適合な海外製鋼材や低強度材の混入を物理的に100%シャットアウトすることが可能となります。
14節 高力ボルト接合
- 摩擦接合用高力ボルトの標準ボルト張力に対する一次締めトルク(標準値)
導入張力:標準ボルト張力の10%加算値(または各ボルト径に定められた既定値)
(改修監理指針 14.1.3関連)
鉄骨ブレースを既存コンクリート枠に緊結するガセットプレートの接合には、高力ボルト(トルシア形または高力六角ボルト)を用いた摩擦接合が多用されます。 したがって、ボルトの締付け作業においては、一気に本締めを行うのではなく、部材の密着性を高めるために、必ず段階的に「一次締め」を行わなければなりません。 実務においては、トルクレンチの数値を一次締め規定値(例:M20であれば約150N・m等)に正確にキャリブレーションして締め付け、ボルト・ナット・座金にわたる「一直線の共回りマーキング」を確実に施してください。なぜなら、この段階調整を怠ると、群全体の締付けバランスが崩れて部分的な緩み(導入張力のばらつき)が生じ、地震時にブレースが滑りを起こして耐震性能を発揮できなくなるためです。
15節 溶接接合
- 板厚が異なる突合せ継手における段違いの傾斜加工を要する境界値
境界値:板厚差が薄い方の板厚の 1/4 または 10mm を超える場合
加工傾斜:1/2.5以下 の緩やかなスロープ
(改修監理指針 図8.15.13)
耐震改修の現場溶接や工場製作において、既存の鉄骨フレームと新規のガセットプレート等、厚みの異なる鋼板同士を突き合わせて完全溶込み溶接する場合、板厚差による段違いが薄い方の板厚の 1/4 または 10mm を超えるときは、必ず厚い方の鋼材の端部を 1/2.5以下 の勾配でなだらかに傾斜加工(テーパー切削)しなければなりません。 なぜなら、この「1/2.5以下」という緩やかな傾斜加工を怠り、急激な段差のまま溶接を強行してしまうと、大地震時に繰り返し生じる引っ張り・圧縮の応力がその段差部に急激に集中(応力集中)し、溶接ビードの止端部から金属疲労によるクラックが瞬時に発生して破断するためです。 それゆえに、現場代理人は、開先加工完了時の段階確認において、ノギスと傾尺定規を当てて、この「1/4」「10mm」「1/2.5」の数値が厳格に守られているかを実測測定し、合格状況を写真に記録してください。
16節 スタッド溶接
- 頭付きスタッド溶接完了後における打撃曲げ試験の曲げ角度
試験曲げ角度:15度
(改修監理指針 16.1.3関連) - 不合格スタッドを除去する際の母材グラインダー仕上げ平滑厚さ
除去部の仕上り:母材表面を平滑に仕上げる(母材厚みの減少がないこと)
(改修監理指針 16.1.3関連)
鉄骨梁の天端に合成スラブを一体化させる、あるいはコンクリートとのすべり止めを目的として打設する「頭付きスタッド」は、溶接完了後にハンマーで叩いて「15度」傾ける打撃曲げ試験を規定数サンプリング実施しなければなりません。 この際、溶接部の根元にクラックや剥離が生じることなく、スタッド軸自体が滑らかに 15度 曲がることが合格の絶対条件です。もし、溶接不良によって剥がれたり不合格となったスタッドが発生した場合は、母材のH形鋼を傷つけないよう慎重に削り取り、グラインダーを用いて母材鋼材の板厚を1ミリも減少させることなく「平滑に仕上げ」た上で、隣接部に再打設(打直し)を行わなければなりません。 監督職員は、打撃曲げ試験時に確実に15度の傾きが確保されているかを、角度ゲージを当てた写真データで数値確認することが、せん断力伝達機能を現場で100%保証するための確実なアプローチです。
17節 鉄骨の錆止め塗装
- 耐震補強用鉄骨に使用する変性エポキシ樹脂錆止め塗料の標準塗付け量
塗付け量:0.12kg/㎡
(改修標準仕様書 7.4.3 / 8.17.2関連)
鉄骨ブレースや補強金物は、既存の壁内部や天井裏といった「結露が生じやすく、かつメンテナンスが困難な閉鎖空間」に長期間隠蔽されることになります。 そのため、初期の錆発生を完全に封じ込める防錆能力(変性エポキシ樹脂錆止め塗料)は極めて重要であり、1回あたりの塗付け量 0.12kg/㎡ を全域に均一に塗装しなければなりません。 実務においては、入り組んだガセットプレートの裏側やボルト孔の周辺など、膜厚が薄くなりやすい「エッジ部」に対してあらかじめ刷毛で「増塗り」を施した上で、ローラーで全体を規定量(0.12kg/㎡)仕上げることが鉄則です。 現場代理人は、搬入された塗料の総質量と施工面積から塗布量を数値計算し、余剰なシンナー希釈による「薄塗り手抜き」がないことを空缶の数値で監督職員に証明してください。
18節 耐火被覆
- 耐火被覆の設計仕様を満足するための施工厚さ
最小確保厚さ:設計仕様書に明記された耐火時間に応じた厚さ
(例:1時間耐火で20mm〜25mm等)
(改修標準仕様書 8.18.2関連)
耐震補強によって新設した鉄骨ブレースや梁であっても、火災時に高熱(約1,000℃)にさらされると鋼材の強度は急激に低下し、わずか数分で座屈(倒壊)に至ります。 したがって、設計で要求されている耐火性能(1時間または2時間耐火等)を物理的に担保するため、吹付けロックウールや耐火成形板などの耐火被覆材は、設計図書に定められた「規定厚さ」を全周にわたって完全に確保しなければなりません。 現場代理人は、被覆完了後に、専用の針式ピンゲージ(厚さ測定器)をランダムに突き刺してミリ単位の厚さ数値を測定し、一箇所でも規定厚さに満たない薄いスポットがないかを厳格に確認(段階確認)してください。これによって、万が一の災害時にも、避難安全時間を構造的に保証することが可能となります。
19節 鉄骨の工事現場施工
- 鉄骨建方時における仮ボルトの最小締付け割合(混用接合・併用継手の場合)
締付け割合:ボルト1群に対して 1/2以上 かつ 2本以上
(改修監理指針 8.19.2)
既存のコンクリート躯体の内部で鉄骨ブレースを組み立てる(建方)際、高力ボルトの本締めや現場溶接を行う前の仮組み段階において、柱・梁接合部には、必ずボルト1群に対して「1/2以上」かつ「2本以上」の仮ボルトをバランスよく配置して、強固に締め付けなければなりません。 なぜなら、改修現場は既存の歪みや建入れの傾きをアライメント修正しながら建方を行うため、仮ボルトの割合が1/2未満と不十分な状態でルーズに吊り荷を解放すると、鉄骨の自重や突発的な強風(作業中の風荷重)によって接合部が容易にねじれ、建入れ精度が完全に崩壊するか、最悪の場合は接合部の仮ボルトが破断して鉄骨が落下する大事故を引き起こすためです。 それゆえに、現場代理人は、クレーンのワイヤーを解く(吊り切り)前に、この「1/2以上」の締付け数値を全接合部で指差し確認し、安全を完全に確保してから次のブロックの建方に移行させてください。
20節 溶融亜鉛めっき工法
- 製品の全表面積に対する不めっき(めっき未付着部)の許容限界割合
最大許容割合:全表面積の 0.5%まで
(改修標準仕様書 8.20.3) - 補修を行うことができる不めっき1箇所あたりの最大面積
最大許容面積:10c㎡以下
(改修標準仕様書 8.20.3)
外部に露出する階段や、雨がかりとなるバルコニーの耐震補強鉄骨において、最高峰の防食性能を発揮するのが溶融亜鉛めっき(ドブめっき)です。 しかしながら、めっき槽への浸漬時に空気溜まりが発生したり、製造時の溶接スラグ除去が不十分であると、部分的に亜鉛が付着しない「不めっき」が発生します。仕様書上、現場で高濃度亜鉛末塗料等(ジンクリッチペイント)を用いて部分補修することが認められている限界値は、製品全表面積の 0.5%まで 、かつ1箇所あたりの面積が 10c㎡以下(おおむね3cm×3.3cm四方以下)の極めて軽微な範囲に制限されています。 もし、この数値(0.5%または10c㎡)を1ミリでも超える巨大な不めっきが存在する場合は、現場での手塗補修は不合格となり、製品を一度工場へ持ち帰って「再酸洗い・再めっき」を行わなければなりません。 現場代理人は、製品搬入時にこのめっき面の数値をノギスと面積スケールで全数近く検収し、錆の早期発生を物理的にゼロに抑え込む管理を徹底してください。
21節 現場打ち鉄筋コンクリート壁の増設工事
- 新設耐震壁増設における既存柱・梁への目荒し(部分はつり)基準
部分はつり仕様:40φ – @75(はつり痕面積比:22.3%)
(改修監理指針 図8.21.6) - 増打ち耐震壁増設における既存壁への目荒し(部分はつり)基準
部分はつり仕様:40φ – @100(はつり痕面積比:12.6%)
(改修監理指針 図8.21.7)
既存コンクリート躯体と新設する増設壁を物理的に一体化させるためには、境界面の目荒し(チッピング・部分はつり)が構造耐力上、極めて重要です。それゆえに、現場代理人はチッピング作業後にスケールと目荒しグリッドを用いて、はつり径およびピッチ(新設壁:40φ – @75、増打ち壁:40φ – @100)が確実に確保されているか検尺し、写真で記録しなければなりません。なぜなら、この目荒し面積比(22.3%または12.6%)が不足していると、地震時に新旧コンクリートの接合面に極端なせん断スリップが生じ、補強した耐震壁が設計通りの剛性を全く発揮できなくなるためです。したがって、高圧水洗後の健全な骨材露出状況と合わせて、施工面積あたりの「部分はつり個数」を段階確認において客観的数値で立証することが、手戻りを防ぐための実務上の最大のポイントとなります。
- 増打ち壁と既存壁の一体化をはかるシアコネクタ(あと施工アンカー)の間隔(特記なき場合)
配設間隔:縦横 30cm以上 50cm以下 の範囲
アンカー呼び径:10mm以上 13mm以下
(改修監理指針 8.21.5(1)(ア)) - 既存壁に施工するアンカーの増打ち壁側への最小定着長さ
最小定着長さ:増打ち壁厚の半分(1/2)以上
(改修監理指針 8.21.5(1)(ア))
増打ち耐震壁の剥離による面外たわみや耐力低下を完全に防止するため、特記仕様書に明記がない場合のシアコネクタは、縦横 30cm〜50cm の等間隔ピッチで、呼び名 10mm〜13mm のあと施工アンカーを千鳥状に格子配置しなければなりません。また、このアンカー筋が増打ち壁側へと呑み込まれる「定着長さ」は、必ず増打ち壁厚の 1/2以上 を物理的に確保してください。これをおろそかにし、定着長さが壁厚の半分に満たないルーズな施工を行うと、地震の水平繰り返し応力によって壁自体が面外に剥離・バーストする危険性が極めて高くなります。現場代理人は、壁筋の配筋前に、あと施工アンカーの出代(突出長さ)が壁厚に対して規定数値以上あるかを全数スケール検尺し、段階確認の数値データとして監督職員に提示することが鉄則です。
- 有開口増設壁の開口部補強筋(引張用)におけるあと施工アンカーの最小埋込み・定着長さ
アンカーの最小埋込み長さ(接着系アンカーの場合):11da以上(da:アンカー筋の直径)
アンカー筋の新設壁側への最小定着長さ:40da以上
(改修監理指針 8.21.5(1)(イ) / 図8.21.8) - 新設壁の割裂防止用補強筋(スパイラル筋等)の最小ラップ長さ
最小ラップ長:配置ピッチの 2倍以上
(改修監理指針 8.21.6(1)) - 接着系アンカーの強度低下を誘発する限界受熱温度(溶接時等の注意値)
熱影響境界温度:200℃以上
(改修監理指針 8.21.6(2)(ア))
開口部周辺は地震時に最も応力集中が激しい弱点部であるため、開口補強筋(引張用)をコンクリート躯体に定着させるあと施工アンカーには、極めて厳しいミリ数値管理が求められます。具体的には、接着系アンカーの躯体への埋込み長さを 11da以上、新設壁への定着長さを 40da以上(例:D13であれば埋込み143mm以上、定着520mm以上)確実に確保しなければなりません。 さらに、開口補強筋の周囲を緊結する割裂補強筋(スパイラル筋)のジョイント部は、ピッチの 2倍以上(結束線による緊結)を重ね合わせる必要があります。 実務における極めて重要なノウハウとして、有機エポキシ系の接着系アンカーは、グラウトや鉄筋溶接時の熱(200℃以上)を受けると、樹脂が熱分解を起こして引張耐力が一瞬にしてほぼゼロになる致命的な特性を持っています。したがって、アンカー筋に開口補強筋を溶接等で接合する場合には、溶接部からアンカー定着部までの距離を十分に離すか、あるいは濡れウエスによる強制冷却を行う、もしくは「重ね継手」を採用するなどの熱対策を徹底管理してください。
- 増設壁上部を流込み工法により施工する場合の、既存梁下グラウト注入用隙間寸法
既存梁下と型枠天端の隙間寸法:200mm
(改修監理指針 8.21.8(2)(ア)) - 増設壁のコンクリート打込み時における最下部モルタルの敷き厚さ
中締めモルタルの標準敷き厚さ:50mm
打始めコンクリートの初期打設(締固め)厚さ:10cm以上 20cm以下
(改修監理指針 8.21.8(2)(ウ))
増設壁のコンクリートを既存枠内に密実充填するためには、打込み工法の選定と最下部・最上部の処理が成否を分けます。新設壁のコンクリートを「流込み工法」で打設する場合、既存梁下から 200mm 下の位置で一度打設を止め、型枠内に確実にコンクリートを充填させて初期収縮を落ち着かせます。その後、この残された 200mm の隙間に対して無収縮グラウト材を圧入(8.21.9)して完全に隙間を塞ぎます。 また、コンクリート打ち始めの最下部(約2m〜3m下に生コンを落とし込む際)は、配筋が過密であるため「材料分離」が極めて起きやすい箇所です。それゆえに、打設に先立ってまず厚さ 50mm の「中締めモルタル(セメントペースト)」を先行して敷き込み、骨材のひっかかりを防止した上で、最初の 10cm〜20cm のコンクリートを極めて入念に棒形振動機でバイブレーション(加振時間5〜15秒)させて鉄筋下部に回り込ませる管理が、壁下部のジャンカを物理的にゼロにするプロの打設テクニックです。
22節 鉄骨ブレースの設置工事
- あと施工アンカー(摩擦圧接アンカー等)の呼び名に対するボルト全長(首下長さ)及びナット平径
呼び D10:全長 80mm + L1(ナット平径B:19mm)
呼び D13:全長 105mm + L1(ナット平径B:24mm)
呼び D16:全長 130mm + L1(ナット平径B:30mm)
呼び D19:全長 155mm + L1(ナット平径B:32mm)
呼び D22:全長 180mm + L1(ナット平径B:36mm)
呼び D25:全長 200mm + L1(ナット平径B:46mm)
(※L1:あと施工アンカー筋の定着長さ、ボルト首下長さ許容差:±2.0mm)
(改修監理指針 図8.22.7)
既存のRC梁下や柱の間に鉄骨ブレースを取り付ける際、躯体に打設するあと施工アンカー筋(頭部摩擦圧接アンカー等)は、上部に取り付くガセットプレート(接続鋼板)の厚みやモルタルの充填スペース(せい:h’)をミリ単位で計算し、上記の正確な規格全長(例:D13であれば 105mm + L1、許容差 ±2.0mm 内)を厳格に選定・検収しなければなりません。 なぜなら、ボルトの突出寸法が短すぎると、プレート固定用のナットのねじ山が完全にかみ合わず強度が不足し、逆に長すぎると、今度は鉄骨ブレースのフレームとボルト頭が干渉して建方(ドッキング作業)が物理的に不可能になるためです。したがって、現場代理人は、工場へのアンカーボルト発注前に、現地の実測不陸値とガセットプレート厚(通常16mm〜25mm等)から逆算した「出代計算書」を数値で作成し、確実にクリアランスが確保できていることを事前に施工図で証明してください。
23節 柱補強工事
- 独立柱補強における増立てRC(又はモルタル)の補強厚さの適用範囲
巻立て補強厚さ(t):60mm以上 150mm以下
(改修監理指針 8.23.1(ア)) - 既存柱の曲げ耐力上昇を防止するため床上、梁下に設ける標準スリット幅
スリット隙間寸法:30mm以上 50mm以下
(改修監理指針 8.23.1(ア))
既存RC柱の耐震性を向上させるため、溶接金網やフープ筋を用いて周囲をコンクリート(又は構造体用モルタル)で巻き立てる場合、補強厚さは必ず 60mm〜150mm の設計範囲内に収めて施工しなければなりません。しかしながら、建物の意匠スペースを確保したいからと薄くし、厚さが60mm未満となると、過密な新設鉄筋の周囲におけるコンクリートの必要最小かぶり厚さが物理的に確保できず、数年で塗膜や補修面が爆裂・剥離します。 また、柱に過度な「曲げ耐力」を持たせず、せん断補強のみを純粋に機能させたい設計仕様においては、床上および梁下に必ず 30mm〜50mm のスリット(クリアランス)を正確に設けて縁切りしてください。現場代理人は、このスリット内部にゴミやコンクリートペーストが流れ込んで目詰まり(一体化)していないかを、脱型後の段階確認において内視鏡鏡等を用いて確実に検査・清掃してください。
- 独立柱の目荒し(部分はつり)による既存モルタル等の撤去・はつり面積割合
はつり面積割合(柱面全体に対して):15%以上 30%以下
(改修監理指針 図8.23.8) - 巻き立てモルタルにおける新設補強材(溶接金網等)のかぶり厚さ
最小かぶり厚さ(JASS5準拠):30mm以上
(改修監理指針 8.23.5(1)(b)) - RC巻き立て補強に用いる溶接金網の標準鉄筋径
金網の鉄筋径:6mm
(改修監理指針 8.23.5(1)(b))
柱のRC(又はモルタル)巻き立て補強時における下地調整では、既存コンクリート表面のモルタル層を部分的にはつり取り、既存柱面全体の 15%〜30% に相当する面積を確実に「目荒し」して一体性を確保しなければなりません。 さらに、巻き立てるモルタルの耐久性を長期にわたって担保するため、新設する補強用の溶接金網(標準径 6mm)の外側には、必ず 30mm以上 のかぶり厚さを物理的に確保してください。なぜなら、かぶり厚さが30mm未満と薄いと、コンクリートの中性化(炭酸化)が極めて短期間で溶接金網の深さにまで到達し、内部鉄筋が錆びて巻き立て層全体が剥落する大惨事を招くためです。それゆえに、現場代理人は、金網設置後にプラスチック製スペーサーが等間隔(1㎡あたり4個以上等)に配置され、型枠との間に確実に30mm以上の数値スペースが維持されているかを段階確認写真で立証してください。
- 溶接閉鎖フープ(帯筋)巻工法における最小鉄筋径及び最大配置ピッチ
最小フープ筋径:呼び名 D10(又は直径 9mm)以上
フープ筋の配置間隔:100mmピッチ以下
フープ筋の折り曲げ内法直径(コーナー部):呼び名の 3倍以上
(改修監理指針 8.23.5(2)(イ)(a)、(c)) - 溶接閉鎖フープ内に配置する補強縦筋の仕様及び間隔
縦筋の最小径:フープ筋より 1サイズ以上大きいもの
縦筋の配置間隔:250mm以下
(改修監理指針 8.23.5(2)(イ)(a))
柱のせん断耐力と粘り強さ(靭性)を極大化する溶接閉鎖フープ巻き工法においては、フープ筋として必ず D10(又は9mm)以上 の太さを用い、かつピッチは 100mm以下 という極めて密な間隔で打設・配置しなければなりません。また、フープのコーナー部(角部)の折り曲げ内法直径は、鉄筋自体の脆性破壊を防ぐため、必ず呼び名の 3倍以上(D10であれば内法径30mm以上)の緩やかな曲げ半径を確保してください。 さらに、これらを内側から支持する縦筋は、フープ筋よりも必ず「1サイズ以上太い鉄筋」を選定し、250mm以下 のピッチで等間隔に結束配置する必要があります。監督職員は、配筋検査時にスケールを当てて、この「100mm以下」および「250mm以下」という二つの構造制限数値が等間隔で完全に維持されているかを、厳格に立会い確認してください。
- 鋼板巻き柱補強工事における隙間注入用グラウト材の品質合格基準(表8.23.1)
材齢28日最小圧縮強度:30N/㎟以上
24時間以内体積膨張率:1%以上 3%以下
初期ブリーディング率:0.1%以下
JMロートによる標準流下時間:6秒以上 10秒以下
(改修監理指針 表8.23.1) - 帯板巻き付け補強(山形鋼併用等)における裏面手詰めモルタルの調合割合
モルタル調合(容積比):セメント 1 : 砂 2(硬練り仕様)
(改修監理指針 8.23.5(2)(ウ) / 8.23.5(4)関連)
既存柱の周囲に鋼板(厚さ4.5mm〜9mm等)を巻き付け、その隙間にグラウト(無収縮モルタル)を注入する工法においては、注入材料の物性数値が構造的一体性を100%決定づけます。そのため、使用するグラウト材は、圧縮強度 30N/㎟以上、膨張率 1〜3%、ブリーディング 0.1%以下、および流下時間 6〜10秒 という極めて厳しい合格基準数値をすべてクリアした材料でなければ現場での使用は一切認められません。 特に、流下時間が10秒を超えてドロドロに粘くなった材料や、膨張率が1%に満たない材料を使用すると、鋼板内部の最上部に巨大な「空気溜まり(未充填空隙)」が発生し、応力が鉄骨へ伝達されなくなります。また、手詰めで行う山形鋼・帯板巻き付け時の裏込めモルタルは、乾燥収縮による縁切れを極限まで防ぐため、必ず容積比 1:2(セメント:砂)の硬練り仕様を厳守し、隙間の奥深くまで隙間なく密実に押し込み充填させてください。
24節 連続繊維補強工事
- 炭素(又はアラミド)繊維シート貼り付け前における既存下地コンクリートの最大含水率制限
下地コンクリートの含水率(モルタル水分計測定値):8%以下
(改修監理指針 8.24.1(才)) - 温度変化を考慮した連続繊維シート貼り付け後の初期硬化(養生)時間目安(気温20℃の場合)
標準養生時間:12時間以上 24時間以下
(改修監理指針 8.24.1(5)(i))
炭素繊維シートやアラミド繊維シートを用いた耐震補強工法(連続繊維補強)は、溶剤系エポキシ樹脂(含浸接着樹脂)の化学硬化反応によって、躯体コンクリートと繊維シートを完全に接着・一体化させるハイテクな工法です。しかしながら、下地コンクリートの内部にわずかでも水分が残留していると、エポキシ樹脂の付着反応が物理的に完全に阻害され、シートの浮き・剥離を即座に引き起こします。 したがって、樹脂の塗布に先立ち、現場代理人はモルタル水分計を用いて下地コンクリートの水分量を実測し、確実に数値が 8%以下 に乾燥していることを段階確認記録(数値データ)で監督職員に証明してください。また、貼り付け後は、樹脂の完全な分子結合を待つため、気温20℃環境下において 12時間〜24時間 は、振動や衝撃を一切与えない徹底した立入禁止・養生管理を行う必要があります。
- 連続繊維シート補強におけるプライマーおよび含浸接着樹脂の1回あたり標準使用量(表8.24.2)
下地プライマー塗布量:0.2kg/㎡以上 0.3kg/㎡以下
含浸接着樹脂(下塗り層)塗布量:0.3kg/㎡以上 0.4kg/㎡以下
含浸接着樹脂(上塗り層)塗布量:0.2kg/㎡以上 0.3kg/㎡以下
(改修監理指針 表8.24.2)
シート補強の強度は、繊維シートに樹脂が完全に「含浸(しみ込むこと)」し、均一な厚みで固着することで保証されます。そのため、施工時は上記の規定塗布量(プライマー:0.2〜0.3kg/㎡、下塗り:0.3〜0.4kg/㎡、上塗り:0.2〜0.3kg/㎡)を厳格に順守してください。 なぜなら、特に下塗りの樹脂量が0.3kg/㎡未満と少ない状態で繊維シートを貼り付けると、シートの厚みに対して樹脂の量が足りず、シート内部に空気(ドライスポット)が大量に取り残され、地震時にシートが部分的に破断する原因となるためです。現場代理人は、使用したエポキシ樹脂の主剤・硬化剤の混合重量をデジタル秤等で正確に「ミリグラム単位」で計量・記録させ、規定平米あたりの消費量と合致しているかを厳しくコントロールしなければなりません。
- 有孔梁の周囲を連続繊維シート(炭素繊維等)で補強する際の下貼り用最小幅及び定着長さ
下貼りシートの最小幅:20cm(200mm)以上
下貼りシートの最小長さ:a + 40cm(400mm)以上(a:開口孔の直径又は辺長)
(改修監理指針 図8.29.5.3)
既存のRC梁にスリーブ孔(配管用貫通孔等)が存在する場合、その開口周囲は応力集中によってひび割れが極めて発生しやすいため、炭素繊維シートによる「下貼り(先補強)」を施す必要があります。この際、下貼りするシートの幅は必ず 20cm以上、長さは開口径(a)に対してさらに両側に20cmずつ伸ばした a + 40cm以上 の定着寸法を確保しなければなりません。 これをおろそかにして小さな端切れシートで穴の周りだけをルーズに覆う施工を行うと、大地震時に開口の斜め45度方向から発生する「せん断ひび割れ」をまたぐことができず、補強効果は完全に失われます。したがって、貼り付け工程に入る前に、現場代理人は梁への地墨(プロットライン)をスケールで検尺し、この必要長さ(a + 40cm)に合致するシートを正確に裁断させてから職人に施工させる管理を徹底してください。
25節 耐震スリット新設工事
- 完全スリット新設時におけるカッター等での既存壁切断隙間寸法
カッター切断によるスリット幅:30mm以上 40mm以下
(改修監理指針 8.25.1(2)) - 完全スリットの止水処理におけるシーリング材の充填箇所数
シーリング充填箇所:外部及び内部側の 2箇所
(改修監理指針 8.25.1(2))
耐震スリットの新設は、地震時に柱へ過度なせん断力が集中するのを防ぐため、既存の雑壁(腰壁や袖壁)を柱・梁から完全に縁切りする極めてシビアな工種です。それゆえに、コンクリートカッター等を用いて壁を切断する際は、スリット幅を必ず30mm以上 40mm以下の範囲でミリ単位で均一に維持しなければなりません。 なぜなら、スリット幅が30mm未満と狭すぎると、大地震時に発生する構造体の水平変位(層間変位)を吸収しきれず、揺れ動いた壁が柱に物理的に激突して柱のせん断破壊を誘発し、逆に40mmを超えて広すぎると、目地の美観を大きく損なうためです。したがって、現場代理人は、カッター切断後に必ず幅測定を行い、スリット内部にロックウール等の耐火・充填材を隙間なく挿入した上で、止水性を担保するために外部と内部の2箇所をシーリング材で完全に密閉するよう段階確認を徹底してください。
26節 免震改修工事
- 免震装置(積層ゴム等)を設置する既存基礎梁下部等の下地平たんさ許容差
接合面の平たんさ許容差:1mにつき 3mm以下(a種適用)
(改修標準仕様書 8.1.4 / 8.26関連)
既存建物の柱脚部や基礎部に積層ゴムなどの免震装置(NRBやLRB等)を挿入する免震改修は、構造物の自重のすべてが新設する免震プレートへ集中するため、接合面の精度が品質を100%決定づけます。それゆえに、型枠せき板を取り外した後のアンダーピニング下部コンクリートや既存梁下の平たんさは、1m定規を当てた際の隙間が3mm以下(平滑な仕上げ下地であるa種に準拠)でなければなりません。 なぜなら、この平たんさが確保されていないと、免震装置を取り付けるベースプレートの裏面に部分的な空隙(隙間)が生じ、ボルトを締め付けた際や供用後に応力が局所的に集中してベースプレートの変形やアンカーの破断、さらには積層ゴムの傾き(面外変位)を引き起こすためです。その結果、無収縮モルタルの圧入前には必ずレーザーレベル等で天端精度を実測し、不陸がある場合はディスクサンダー等で鏡面のように平滑に研磨・微調整する管理が不可欠となります。
27節 制振改修工事
- 現場溶接を伴う制振ブレース等におけるオイルダンパー等の取付時期
ダンパーの取付:仮溶接部の本溶接を完全に実施した後
(改修監理指針 8.27.4(8))
地震の振動エネルギーを効率よく吸収するオイルダンパーや粘性ダンパーなどの制振デバイスは、周囲の鉄骨フレームやガセットプレートの「本溶接」がすべて完了した後に、ピン結合等で最終的に取り付けなければなりません。 なぜなら、仮溶接や仮ボルト締めのルーズな状態で先にダンパーを固定してしまうと、その後の本溶接時に発生する極めて大きな熱膨張・収縮応力(溶接歪み)が、ダンパー本体に不要な初期圧縮・引張荷重(初期歪み)としてダイレクトに作用するためです。この熱応力を受けると、ダンパー内部の超高精度な油圧シールやシリンダーが歪み、竣工直後から致命的なオイル漏れ(作動不良)を引き起こします。したがって、現場代理人は、ガセットプレートの本溶接が完全に完了し、鋼材が常温に冷却されて熱変形が完全に落ち着いたことを確認した上で、ダンパーの装着作業を指示してください。
28節 土工事及び地業工事
- 直接基礎のアンダーピニングにおける沈下修正用仮設杭の圧入・打止め管理
管理方法:事前に定めた 圧入荷重及び打止め管理基準 に基づく管理
(改修監理指針 8.28.10(6)(ウ))
既存構造体を稼働させたまま下部を掘削し、基礎下に免震装置や新設基礎を構築するアンダーピニング工法(地盤補強・杭新設)においては、事前の厳格な荷重計画が成否を分けます。それゆえに、施工計画書段階で地盤調査データから逆算した圧入荷重及び打止め管理基準を明確に数値化し、実際のジャッキ圧入時にはその荷重変化をリアルタイムで記録・管理しなければなりません。 なぜなら、圧入力の数値が計画値に達していない段階で打止めを行うと、建物荷重を仮設杭に戻した(建物のジャッキアップ・仮受け)瞬間に、支持力不足による不同沈下(建物の傾斜)が発生し、上部構造に致命的なクラックを多発させるためです。現場代理人は、圧入中の油圧ゲージの数値を常時写真に収めるとともに、建物の特定柱頭部などに設置したレーザー変位計で「傾斜と沈下」をミリ単位で常時計測するモニタリング体制を構築し、安全性を客観的数値で監督職員に立証してください。
29節 「改修標仕」以外の構造体の耐震改修工事
- ベースプレート拡張等におけるアンカーボルトのナット回転法締付け角度
ナットの密着を確認した後の回転角度:30度
(改修監理指針 8.29.1(3)) - 外付けフレーム・ブレース接合における既存鉄筋への最小溶接長さ
既存鉄筋との接合溶接長さ(片側):10d(d:鉄筋の直径)
(改修監理指針 8.29.2(3)(c)) - 既存の有孔梁(設備スリーブ貫通部)を炭素繊維シートで補強する際の下貼り最小寸法
下貼りシートの最小幅:20cm以上
下貼りシートの梁材軸方向の最小長さ:a + 40cm以上(a:開口孔の直径又は辺長)
下貼りシートの最小積層数:1層
(改修監理指針 8.29.5(3)(a)) - 既存の有孔梁における開口部両側のせん断補強用炭素繊維シート(U字形)最小積層数
開口両側の幅aの範囲および開口部へのシート貼り付け数:1層
(改修監理指針 8.29.5(3)(a))
「改修標仕」以外の特殊な構造補強技術を適用する場合、力の伝達ルート(応力の伝達性能)を確実にするため、上記のシビアな数値管理が必須となります。 まず、ベースプレートを拡張してRC柱頭部にアンカーボルトを緊結する際、ボルトの締付けは「ナット回転法」を厳格に適用し、ナットの密着を確認した後に正確に30度回転させてトルクを導入してください。回転角が30度未満では初期張力が不足して地震時に容易に滑りを起こし、逆に30度を超えるとボルトが塑性領域に達して破断するためです。 また、外付け補強用の接合梁を既存鉄筋に溶接接合する場合には、片側10d(鉄筋径の10倍)以上の溶接長さを完全に確保し、ショートビードによる母材損傷を物理的に防止します。 さらに、RC梁に存在する設備用スリーブ孔(有孔梁)の炭素繊維補強においては、開口の上下に幅20cm以上、長さa + 40cm以上の炭素繊維シートを材軸方向に1層下貼り(先補強)し、開口の両側(幅aの範囲)にもU字形に1層確実に巻き付けて、地震時に開口周辺から発生する斜めせん断ひび割れを物理的に完全に拘束してください。
30節 「改修標仕」以外の非構造部材の耐震改修工事
- 天井耐震化における吊りボルト受け等の最小引張確認強度
確認引張強度:400N(単位面積質量 20kg/㎡以下 の天井の場合)
(改修標準仕様書 8.30関連 / 改修監理指針 8.30.1) - 天井下地(つりボルト)の最大補強ピッチ(平地部)
つりボルトの最大間隔:900mm以下
(改修標準仕様書 8.30関連 / 改修監理指針 8.30.1)
非構造部材の耐震改修において、最も落下の危険性が高く、厳格な対策が求められるのが「既存天井の耐震化」です。新築時の設計図書が不明瞭な既存のインサート金物を利用してつりボルトを再設置する場合、単位面積質量が 20kg/㎡以下 の標準的なせっこうボード天井などであれば、引き抜きや脱落を防止するため、事前に簡易引張試験機等を用いてアンカーの引張確認強度を必ず400N(約41kgの引張力)以上で実測確認しなければなりません。 なぜなら、長年の微振動やコンクリートの中性化によって、インサート周辺の躯体が脆化している場合、この確認強度テストを行わずに下地を組むと、大地震時に天井全体の自重によってインサートが一斉に抜けて崩落するためです。 それゆえに、現場代理人は、つりボルトの間隔が確実に900mm以下に配置されていることを検尺の上、抜き取り試験による「400Nクリア」の数値を段階確認書に克明に記録して監督職員に提示してください。
31節 津波対策改修工事
- 津波避難ビル等に増設する避難用外階段等の設計耐風圧・耐衝撃荷重仕様
適用基準:地域ごとの設計風圧力及び波圧を考慮した構造計算値
(改修標準仕様書 8.31.2 / 改修監理指針 8.31.1関連)
津波避難ビルや災害拠点となる公共建築物において、津波発生時に住民が確実に屋上等へ避難できるよう外階段を新設・改修する「津波対策改修工事」では、過酷な波力(波圧)や漂流物の激突、さらには沿岸部特有の強風(設計風圧力)を考慮した構造的な数値設計が絶対基準となります。 したがって、現場代理人は、外階段の鉄骨フレームや手すり壁が、想定される津波の浸水深に応じた荷重に耐えうるものであるかを、構造計算書の具体的な設計値(数値データ)をもって事前に確認・検収しなければなりません。 なぜなら、単なる一般用タラップと同等の安価な手すりや細径のアンカーで固定された階段では、津波の引き波や漂流物の直撃によって一瞬にして根元からへし折られて流失し、避難経路を完全に消失させるためです。基礎アンカーの埋込み長さ(原則11d以上等)や、鉄骨接合部の完全溶込み溶接(15節準拠)といった「構造計算値通りの施工精度」を段階確認で厳しく管理することが、非常時に命を繋ぐためのスペシャリストの職務です。
第8章 耐震改修工事の総括(まとめ)
本章(第8章 耐震改修工事)に規定されているすべての確定数値は、地震大国である我が国において、不確定要素の多い既存ストックを「新築時以上の強靭な耐震性能」へと物理的に蘇らせるための妥協なき合格判定デッドラインです。
配置技術者や現場代理人の皆様は、これら「耐震スリット幅 30mm以上40mm以下」をはじめ、「あと施工アンカーの初期養生 24時間以内」「既存鉄筋への溶接長さ 10d以上」「有孔梁の炭素繊維シート下貼り幅 20cm以上、長さ a + 40cm以上」「ナット回転法 30度回転」にいたるまで、職人の勘や経験といった曖昧な「手加減」を完全に排除し、レーザーレベルや試験機、デジタル秤、ノギスを用いた客観的数値による徹底的な自主検査を行ってください。 また、発注者の皆様は、仕上げを施すことによってブラックボックス化してしまう前の「部分はつり目荒し面積比(新設22.3%、増打ち12.6%)の確認」や「接着系アンカーの熱影響(200℃以下)防止対策の有無」、さらには完了時の「引張接着試験(補強壁1枚あたり3本以上)」を、計測データと施工写真をもって厳格に立ち会い・検査してください。
令和7年版の改修標準仕様書および監理指針に示された、一分一厘の妥協もない徹底的な数値監理の積み重ねこそが、万が一の震災時にもビクともしない安全な避難空間を創出し、受注者・発注者双方が誇りを持って社会に引き渡せる最高品質の耐震改修建築物を完成させるための、確固たる礎となります。
👉 改修監理指針 第9章 環境配慮改修工事のチェックポイントはこちら


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