監理指針 第13章 屋根及びとい工事|公共建築工事の監理に役立つチェック項目

 公共建築工事における屋根及びとい工事は、建物の水密性・耐風性・耐久性を確保するための重要な工種です。

 特に屋根やといは、完成後に不具合が発生すると足場設置や部分解体を伴うケースが多く、維持管理コストの増加につながります。そのため、施工段階で監理指針に基づく数値管理を徹底することが重要です。

 本記事では、**令和7年版 公共建築工事標準仕様書 公共建築工事監理指針 第13章「屋根及びとい工事」**に記載されている数値基準を整理し、監督職員・現場代理人・施工管理技士が実務で活用できるポイントを解説します。

第13章 屋根及びとい工事とは

 公共建築工事監理指針における「屋根及びとい工事」は、雨水を確実に排水し、建物内部への浸水を防止するための工事です。

屋根材そのものだけでなく、

  • 下葺材
  • 固定金物
  • 谷部
  • とい
  • ルーフドレン

なども重要な管理対象となります。

特に近年は大型台風や集中豪雨が増加していることから、監理指針に定められた数値を確実に管理することが従来以上に重要となっています。


1節 共通事項

耐風圧計算に関する確認事項

水平投影長さ10m以上の屋根

基準値

  • 最上端から最下端までの水平投影長さ 10m以上

根拠 公共建築工事監理指針 13.1.2(4)

屋根面の水平投影長さが10m以上となる場合は、風圧力に対する構造耐力上の安全性について十分な確認が必要となります。

特に折板屋根や長尺金属板葺では、

  • 屋根材
  • 固定金具
  • 吊子
  • タイトフレーム

などが設計風圧力に対応しているか確認しなければなりません。

また、現場では屋根全体だけでなく、風荷重が集中しやすい隅角部や端部についても取付間隔が施工図どおりであるか確認しておくことが重要です。


2節 長尺金属板葺

下葺材施工時の温度管理

気温が著しく低下した場合

基準

  • 気温が著しく低下した場合は施工しない

根拠 公共建築工事監理指針 13.1.3


改質アスファルトルーフィング(粘着層付)

基準

  • 気温が著しく低下した場合は施工しない

根拠 公共建築工事監理指針 13.1.3(2)

長尺金属板葺では、仕上がり後に確認できなくなる下葺材の品質確保が極めて重要です。

気温が低い状態で粘着層付ルーフィングを施工すると、本来必要な接着性能が確保できない場合があります。

そのため冬季施工では、

  • 当日の気温
  • シート表面温度
  • 施工開始時刻

を施工記録として残しておくと、品質管理資料として有効です。

また、施工直後の強風でシートが浮き上がることもあるため、貼付け状況を写真管理しておくと後々の説明が容易になります。


4節 粘土瓦葺

のし瓦の葺土(台土)納まり

最下段の葺土

基準値

  • のし瓦外面から30mm内側

根拠 公共建築工事監理指針 13.4.3(1)(イ)(e)


上部のし瓦下の葺土

基準値

  • のし瓦外面から30mm内側

根拠 公共建築工事監理指針 13.4.3(1)(イ)(e)

 のし瓦施工では、葺土が前面へ出過ぎることで毛細管現象が発生し、内部へ雨水を引き込む原因となります。

 そのため竣工前だけでなく施工途中の隠蔽検査時点で、スケールを当てて30mmの控え寸法を確認し、記録写真を残しておくことが重要です。


冠瓦下の葺土寸法

葺土幅

基準値

  • 冠瓦横幅内法寸法の2/3程度

根拠 公共建築工事監理指針 13.4.3(1)(ウ)(d)

実務上は品質管理を明確化するため、

内法寸法の66%以上

を一つの管理目安として確認しておくと検査時の判断が容易になります。

ただし、監理指針上は「2/3程度」であり、66%という表現はあくまで実務上の管理目安です。


5節 とい

配管用鋼管(SGP)

水圧試験

基準値

  • 2.5MPa以上

根拠 公共建築工事監理指針 13.5.2(1)(ア)


硬質ポリ塩化ビニル管(VP管)

水圧試験

基準値

  • 2.5MPa

根拠 公共建築工事監理指針 13.5.2(1)(ウ)


硬質ポリ塩化ビニル管(VM管)

水圧試験

基準値

  • 2.0MPa

根拠 公共建築工事監理指針 13.5.2(1)(ウ)


硬質ポリ塩化ビニル管(VU管)

水圧試験

基準値

  • 1.5MPa

根拠 公共建築工事監理指針 13.5.2(1)(ウ)


塩化ビニル管の定尺

管長さ

基準値

  • 4m

根拠 公共建築工事監理指針 13.5.2(1)(ウ)


防火区画貫通部の制限

不燃材料とする範囲

基準値

  • 貫通部および前後1m

根拠 公共建築工事監理指針 13.5.2(1)(エ)

内部たてどいに塩ビ管を使用する場合、防火区画との取り合いを見落としやすいため注意が必要です。

施工図チェックの段階で、

  • 防火区画位置
  • 貫通部位置
  • 管種
  • 耐火措置

を確認しておくことで手戻りを防止できます。


ルーフドレンの防水層重ね幅

ドレンつば部の重ね幅

基準値

  • 100mm以上

根拠 公共建築工事監理指針 13.5.2(1)(オ)(a)

ルーフドレン周辺は、屋上防水において最も漏水リスクが高い箇所の一つです。

実際の検査では、

  • ドレン固定状況
  • 防水層重ね幅
  • 押え金物
  • シーリング状況

をセットで確認すると見落としを防げます。

特に重ね幅100mm未満は漏水事故につながる可能性があるため、隠蔽前の寸法確認が不可欠です。


屋根及びとい工事で特に確認したい重要数値一覧

項目基準値根拠
水平投影長さ10m以上13.1.2(4)
葺土控え寸法30mm13.4.3(1)(イ)(e)
冠瓦下葺土幅2/3程度13.4.3(1)(ウ)(d)
SGP耐圧2.5MPa以上13.5.2(1)(ア)
VP管耐圧2.5MPa13.5.2(1)(ウ)
VM管耐圧2.0MPa13.5.2(1)(ウ)
VU管耐圧1.5MPa13.5.2(1)(ウ)
塩ビ管定尺4m13.5.2(1)(ウ)
防火区画前後1m13.5.2(1)(エ)
ドレン重ね幅100mm以上13.5.2(1)(オ)(a)

まとめ

 令和7年版「公共建築工事標準仕様書」「公共建築工事監理指針」の屋根及びとい工事では、わずかな施工誤差が将来的な漏水や維持管理費増大につながるため、数値による品質管理が不可欠です。

特に確認したいポイントは次の3つです。

  • 屋根の耐風性能(10m以上の屋根)
  • 粘土瓦の30mm納まり
  • ルーフドレンの100mm以上の重ね幅

見えなくなる前の隠蔽検査で数値根拠を確認することが、公共建築物の品質確保につながります。

次回は**「第14章 金属工事」重要数値チェックポイント**について解説します。

👉 第14章「金属工事」のチェックポイントはこちら

👈 第12章「 木工事」のチェックポイントはこちら

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